発酵王国は数々あれど、北海道にはありません

発酵王国は数々あれど、北海道にはありません

発酵王国は、タイやイタリアが手をあげますが、日本国内で言えば、愛知県が挙げられます。しかし、川崎市でさえ「発酵する市」だと言っていますので、それに倣うとかなりの都道府県が発酵食品で町おこしできます。

日本全土で大切に育てられた発酵食品。

しかし、北海道の発酵食品を調べていると不思議にこれといったものは見つかりませんでした。

ほとんどは和人(松前藩)の影響を受けたものです。

元々北海道は寒冷だったため、偶然発酵するという事象が起こりにくかった点と、また一年中食べるものにことかかなかったことが原因と思われます。

アイヌは鹿や熊が簡単に捕れる環境にいたので獲物を「カムイ(神)が人間のために毛皮と肉を土産に持ち、この世に現れた姿だ」と思っていました。

アイヌは神事の際しかアルコールを飲む習慣は無かったと言われており、和人との交易で酒が入ってきたという記述が残っています。

ヒエで作られるトノトというお酒も松前藩の影響があって作られたものです。

唯一あった「オントゥレプ」訳すと、「発酵したウバユリ」があります。

トゥレプ(オオウバユリ)から澱粉を抽出する時、同時に集めた皮や繊維などのカスを発酵させて作った保存食です。

オオウバユリの球根を潰して水に晒した際、水面や水中に浮く繊維や皮をイチャリ(ざる)で集めます。

よく水気を絞ったのち、コロコニ(フキ)やワッカクトゥ(ヨブスマソウ)の葉で包んで3~10日ほど寝かせ、発酵させます。

この作業をオンといいます。オンさせたものを臼に入れ、かき廻して潰しこねて丸め、乾燥させます。

紐を通し、炉の火棚に吊るして貯蔵します。食べる際はゆがき、小さく切って水でもどし、団子にしてサヨ(粥)に入れます。

この小さな食品だけが手間暇かけて作られていたのも不思議なことです。

 

富山は発酵する都道府県といって恥ずかしくないと思います。

何しろ、発酵蔵カフェかもし堂でかならず前菜で出てくる河豚の卵巣の粕漬けがあるのですから。本来、人を殺せる毒素テトロドトキシンがあるのに、粕漬けできれいになくすばかりか、美味しいものに変更したのです。

日本橋のたもとに富山のフラッグシップショップができました。

日本酒の3種をテイスティングできます。

お酒も日本海側には、素晴らしい文化があります。

そんな富山の一番の楽しみな食材は、氷見の寒ブリ。

日本海の厳しい環境で泳いできたよく身がしまった鰤は、切るとあっと言う間に鮮度が落ちます。

 

そのため、東京サイドに冷蔵車で送ってもらう時には、大きく四つほどに切るそうです。寿司にしているので、刺身でもいいのですが、7ミリに薄くスライスすることで、しゃぶしゃぶ用にできます。

この鰤のしゃぶしゃぶ。モーリー・ロバートソンのようなアメリカ人を寒ブリのアンバサダーにしているのですから。(彼は、富山出身ですが)

お出汁がきいてとても美味しいのです。

肉は、湯がくと言うより、くぐらせる程度です。

レアで、構わない程度です。他の魚介を入れてもいいですが、ここに牛や豚の獣を入れないでください。

是非、鰤からでる油と、淡いイノシシ酸という旨味成分を味わっていただきたいのです。

氷見の寒ブリを是非、ご自宅で、召し上がってみては、いかがでしょうか?