UCデイビス流発酵食品の捉え方、その2

UCデイビス流発酵食品の捉え方、その2

発酵EXPOでは、韓国の良さも体験した私達ですが、課題も感じました。発酵ソムリエとしては、感激の時間でした。

シューメーカー博士は、糀や味噌についてもとても詳しいのですが、韓国の人たちが日本の発酵食品という言葉を嫌う傾向にあることを指摘していました。

 

食べるべきでないものは、はっきりしていて精製したものです。つまり、加工してあるものは、よくありません。プロセスフードです。

 

面白かったのは、日本食がユネスコの無形文化遺産に決まるということは、夏からこのような講演会では日本の著名人の間では確約されたこととして話されていましたので、それを伝えると教授は他にどの国が登録されているのだ?と、聞いてきました。フランス、トルコは納得ですが、メキシコに関しては、反論されていました。単に野菜を切っているあのメキシコ食?トウモロコシの粉で作るものが「スターチ(でんぷん!)」と言って体によくないのに?!

否定はされていましたが、韓国科学者達が言っていた伝統食を食べていれば肥満にもならず長寿ができるというような発想は、やはり食の問題そのものを考えるのを止めてしまうように感じました。

博士もその点は基本的に「これだけ食べていればいい」という食事はない、としています。

テジュを使うものが臭いからといって臭いを抑えたものを発明したら栄養成分もなくなってしまった、臭いのあるものを食べるべきだ等というエピソードはシューメーカー博士の主張とは、違います。

臭いのしない伝統食を作り、なおかつ栄養素もキープすることが科学の力でできるというのです。

農業の廃棄物さえ次の食物資源になるという前向きでアクティブな姿勢が好印象でした。また、超有機体という言葉もはじめて教えていただきました。

超有機体という考え方を教えていただきました。

ロンドン大学インペリアル・カレッジの科学者たちが『ネイチャー・バイオテクノロジー』誌10月号に発表した超有機体という発想があります。体重を量ってもそのうちの約1-2kgは、腸をはじめとする微生物とそのエサの重さであって、ヒトというのは、この微生物を含んであなた自身です、ということです。慶應大学のヘルスサイエンス研究所でも「統合オミクス」により腸内環境をとらえています。統合オミクスとは、データによって、微生物のゲノムデータ、pH、温度などを管理します。この論文は、体内微生物と人体の相互関係のあり方を扱いました。ひとりひとりが抱える細菌の種類や分布によって、医薬品への反応が大幅に異なる可能性があるため、この超有機体の仕組みを理解することは、将来の「個人の特質に応じた投薬・医療」を発展させていくうえで不可欠だというのが、論文の主張でした。腸管では、内分泌細胞、神経細胞、粘膜免疫がバランスよく働き保たれていますが、なにかのきっかけで微生物の優位状態が変わると、腸のバランスが荒らされことがきっかけで様々な症状がでるようです。そのため、ヨーグルトのどの菌があなたのお腹にあうのか?相性を確かめましょう、などという健康に関する記事が発表されるのです。