【発酵ソムリエ】韓国へ発酵食品を求めて、その5
25年前にソウルの東大門の屋台でバナナが一本ずつラップに包まれているのをみたけれど、今でも果物はラップやプラスチックパックに包まれていることが多いようです。トマトも果物として販売されている等、全体的に生鮮食料品の流通が悪い印象があります。
相対的に、一億三千万人以上いる日本に比べて、韓国は人口も約5,000万人(2012年比べ)で、1950年に韓国を分断した歴史もあり、食品の流通は日本ほどでは、ありません。また、素食を重んじる考えがあります。庶民は、軒先で何かを干したり、育てたりして食事をしているというのがわかります。また他のアジアの国と同じく屋台が盛んなので、手軽に食事をすることができます。屋台で販売しているのは、あげたもの。串でさしたものや、粉ものがおおいようです。
全北大学に移動してセミナーを受講しました。移動の方法はタクシーだったのですが、言葉が通じなくて苦労しました。
全北大学は、1947年に創設されたマンモス大学で農業や生物も研究しているのが一目でわかる畑や水槽、ビオトープ等をもっていました。ただ、温室などは、中の植物が生い茂って観覧のために入れそうには、ありませんでした。学生数は32,027人、講師を含む教授の数は1,016人です。
講演の合間には、全北大学の学食でビュッフェがいただけます。内容としては、日本の物に比べてやはりキムチ料理が多いという特徴があります。
カテラリーで特徴的なのは、中国のアイボリー、あるいはプラスチック、日本の割りばしと違い鉄製(本来は真鍮)のお箸とスプーンがつきます。最近はフォークも出すことが多いようです。
余談になりますが、日本には何故、スプーンが発達しなかったか、ご存知ですか?
日本は、椀が漆塗りであったため、熱いスープでも直接食器に口をつけることができたため、スプーンを作る必要がありませんでした。陶器の発達した中国ではレンゲがあり、韓国でも必ずスプーンがつきます。
インフォーメーション(受付)の女性も英語が通じなかったのですが、ITが発達しているので興味深い対応をしてもらいました。PCで翻訳サイトを出し、先方のいいたいことをハングルで入力し英語に変換して私に画面をみせることでコミュニケーションをはかりました。私も必要なことは、英語にしてそれを画面に入力して、理解してもらうという不思議な経験でした。
こぼれ話
韓国語に関して思うことです。25年前に訪ねた頃には、日本人の私が迷っていれば、日本語の話せる老人の韓国人が「日本の方ですか?」と声をかけてきて助けてくれました。まだ戦争を経験した年配者は日本語を読み書きしましたが、街の中ではそういう方達にお会いしなくなりました。また、漢字まじりハングルが多かったのですが、漢字の使用が抑えられ、若者も漢字を読まないため漢字による筆談ができなくなりました。大学の街ではありますが、市井の人は英語が使えるわけでは、ありません。前はもう少し標識にも漢字が使われていたのですが、ハングルだけで運用することになったのか、漢字がないため看板も読めません。地図が読めない、発音が通じないということはものすごいハンデキャップでした。タクシーでホテルの発音が通じなかったため、反対方向に走られて、タクシーを止めては道を歩く様々な人に地図をみせつつ、場所を聞いて遠回りしてようやくホテルにつきましたが、メーターとおりの金額を請求して来るタクシー運転には、腹立たしさを感じました。面白かったのは、領収書をもらうためにreceipt等と英語で通じないのですが、領収書と日本語で言うと「あーリョウジュウジョ(?)」と、通じたりしました。それからは、滞在中ずっと「領収書!」と日本語で叫んでいました。
EXPO会場の若者に漢字で「全北大学」と書き「ゼンボク?」と言った瞬間もゲラゲラ笑われたりしました。英語風にZen book universityも通じませんでした。最終的に「ゼンボツック」のような発音だと分かりました。
講演会に入るときには、名前の記帳がありました。記帳のノートは、結婚式の記帳のノートにそっくりでした。ボランティアの女性が小さな子供を連れて受付業務をしていたのですが、私の漢字の名前をみて「イルボン(日本)?」と聞かれたので頷くと、子供たちが指をさして「イルボン」と言っていた時に、反日感情の高まっていた最中であることを思い出しました。韓国観光公社の1~10月の統計では、日本人観光客は約230万人で前年同期より24・1%の大幅減と発表しています。領土問題のためで、韓国KSBテレビでは、しきりに「竹島はわれらの領土」という内容のニュースを繰り返していました。
新聞(韓国語ではシンムンと言います。)は、日本語でいうひらがなばかりで描かれている感覚なのでしょうか?ハングルの文字のところどころで空間があります。句読点がないので読みづらいということでスペースを入れて読みやすくしたようです。中国から日本に来る途中に韓国があるわけですから、中国で使われていて日本でも使う言葉は、同じことが多いようです。麒麟はやはりキリンでした。講演でも面白かったのは「アミノ酸」はやはり「アミノサン」でした。分野「ブンヤ」茶「チャ」酸素「サンソ」・・・。
特に、日本から輸出してそのまま日本語とともに定着してしまったものとして「たくあん」があります。たくあんの漬け方も日本からの輸入ですが、もともと糠が豊富にあったわけではないので、乳酸発酵のやり方も韓国風になっています。そのため、韓国の販売員は、たくあんは韓国のものだと主張しています。
全州市内を流れる清渓川(チョンゲチョン)。発音だけきくと麹のチョングッチョンと似ていると思えるのは、韓国語ができない私だからでしょう。