訪日外国人には「初耳」の連続!ものづくりの奥深さ
工芸品
民芸運動。日本民藝館の創設者であり民芸運動の中心人物でもある柳宗悦という思想家のもとに日常的に使う日本の工芸品に価値があるという考えが広がりました。イギリスの芸術家バーナード・リーチと陶芸家の濱田庄司が特に有名です。高級な家具調度品だけでなく民芸品としての日本の工芸品を職人に教わる機会があると訪日外国人は喜びます。
工場見学のオススメ
ハイテクノロジーという点で機械や部品の工場見学に行くこともありますし、航空博物館などを中心に訪日外国人をお連れすることもあります。問題点がいくつかあります。企業の工場見学は、内部の説明が企業秘密であまり多くないためにショールームになっています。航空博物館は、自衛隊が絡むので民間機だけの話ではなくなってしまいます。自衛隊の話は、日本の第二次世界大戦のこともあり、触れたくない話題の場合もあります。その他の交通機関は、妙に子どもだけを焦点にあてた博物館です。ピンポイントで戦闘機が好きな人だけを集めることができる場合は、自衛隊の空軍基地がある博物館に行けばいいと思います。ファミリー層のインバウンドに交通博物館に連れていくのも需要があります。
現在、クライアント先だけにしかお見せしていない工場の内部を一部だけでも開放しませんか?工場見学後、ショールームで寛いでもらいながら、自社製品の話を聞いてもらいセールスもするというやり方が他の国の工場見学です。
観光立国にするための工夫
観光立国として有名なイギリスも急に観光立国になったわけではありません。最初に、植民地時代があり、続いて富裕層の家庭で常識とされるグランドツアーという海外に見聞を広げるために成人する子弟は他国を見て回りました。その結果、何を生業としてもニッチなところにチャンスを見出すことができるようになりました。訪れた国の風習を取り入れたイギリスの製品です。
ボディショップのケース
その昔、アニータ・ブラウンの開いたボディショップというイギリスの化粧品会社は、工場見学に行くと、製品開発の段階でどの国のどの素材を採用しているというところからお話をしてくれます。例えば、日本ではウグイスのふん、繭玉などが素材として取り扱われていました。また、動物に優しいこの会社は、テスト段階で社員に自分の肌でパッチテストをさせます。できあがった製品の倉庫ではフォークリフトの席にまで座らせてくれます。この工場内のショップでは、箱が潰れた印字がかすんだ・・・等の理由で販売ルートにのらなかった規格部外品を格安で販売していました。今現在は、創業者とは思いが違う事業継承者により方針変更。工場見学は、クローズしています。
歴史を見せる
同じくイギリスで現在もやっている工場見学で素晴らしい成功例は、ウェッジウッド。ワークショップも年齢別に分けています。絵付けをしている工房も見学でき、出来上がり作品を展示する美術館もあります。ジョサイア・ウェッジウッドは、進化論のダーウィンの血筋です。陶器のような重いものを運ぶのに運河がいかに大切だったか、当時の状況を再現した模型やパネルで表示されます。歴史を見せる工夫があります。工場見学は、ツアーコンダクターが細かい説明をしながら周ります。また、カフェやレストランもあり、セカンドハンドの商品を販売するショップもあります。名古屋のノリタケでも同じではないか?と、おっしゃるかもしれませんが、ツアーがチケット制になっており、販売しています。予約してチケットを買い、工場見学自体を商品にしているという発想です。
実は、リーマンショック前までは工場見学は、無料でした。全ての施設をリフォームして、工場見学で稼ぐことができるレベルに引き上げました。チケットは、工場見学と博物館のコンビネーションを主体に販売し、単独施設の対応もしています。
普段使いのところを見せる文化
外資系の会社で働いていると日本支社を訪問した他の国々の支社、あるいは本社の方々に全てのお部屋を見せて自分たちがいかに頑張っているか?をアピールするか、と思います。発想は同じです。海外の友人の家に行くと必ず、家の中をツアーして回るという儀式があります。普段使いの生活スタイルを見せるのです。会社の場合、コンプライアンス上、うまくみせられない部署に関しては、後ほど会議室でクリップを使いながらプレゼンテーションをします。
日本でも応用しているケース
ヤクルト化粧品は、通信販売しか行わない化粧品会社ですが、工場見学に行くとサロンがあり、そこで基礎化粧品のデモンストレーションがあります。ヤクルト製品の試飲もあり、お土産までついています。訪日外国人、特にミレニアル世代はこういう無料のお土産が大好きです。
これを一般の訪日外国人に向け、販売できるレベルにするということは、多言語対応にし、アテンドする人のレベルも要求されます。また、お持たせになるものもご用意した方がいいでしょう。
工業的な博物館のオススメ
ロボット、新幹線のような定番だけでなく大田区の町工場を訪ねて歩くことも訪日外国人は、喜びます。全てのことに共通することは、「見せ方」です。
科学的な博物館は、見せ方に工夫があるところにお連れしましょう。サンフランシスコにあるジ・エクスプロラトリアムという体験型科学博物館。ソニーがお台場に規模はちいさいですが、同じものを作りました。ただ見るだけでなく実際に体験して理解する科学博物館です。
http://www.sonyexplorascience.jp/
身近なもので
女性の場合、家事に繋がることはとてもウェルカムです。料理も、桂剥きから始め日本食の基本を一から教える講座は人気があります。キャラクター弁当を作る、卵焼きを作る、寿司を作る・・・日本ならではのアイテムは絶賛されます。
手芸の世界でも日本の刺繍糸や針、ハギレはご紹介すると喜ばれますが、手芸人口が世界的に減少しています。時間的な余裕がなく、誰もが楽しむわけではありません。ですが、ワークショップで非日常の世界を味わってもらえます。できあがり製品の販売に力を入れたほうがいいでしょう。
本当は、他の国のように民族衣装が身体にぴったりのサイズでないといけないという場合、到着日にお客様を採寸して、出来上がりをホテルに届けます・・・というサービスがご用意できますが、着物は体型を選びません。オーダースーツやオーダードレスでそれができるかもしれません。また、その人ならではの肌の色にマッチしたセットアップをご提案するというのも面白いかもしれません。考える余地はありそうです。
変身写真館
宝塚という文化は日本独自なので、訪日外国人には奇妙にみえるそうですが、変身写真館で宝塚風に撮った写真が人気になりました。少女漫画のコスプレの延長線。しかも、かなりお年を召したかたでも全く別人に出来上がります。是非、やってみてください。
大田区では、工場街を街歩きする企画もありますし、工場萌えと呼ばれるコンビナートの夜景もまだ訪日外国人には十分伝わっていません。ニッチなビジネスチャンスがまだあります。